腰を痛めない楽な介助方法

はじめに

ぼくがある患者さんを車椅子からプラットホームへ全介助で移乗していた所、若手の同僚からそのトランスファーの仕方を教えて欲しいという要望があり、介助方法についての急遽昨日プレゼンをしました

そこで配布資料を配らない代わりにこちらのブログに公開する事に

参加人数がわからなかったので

ちなみにこのスライド自体、9年ほと前にぼくが訪問看護ステーションに在籍していた時に訪問看護師さんやヘルパーさん、介護者向けに作ったものになります

 

((注意))

スライドの最後にも書いたのですが、今回紹介する内容をされる際にはあくまで自己責任でお願いします

介助される側の体の状態も分かりませんし、介助する側の身体機能も分からない状態、介助を実際に行う場所も不明であるため、今回紹介する内容をそのまましてしまうと介助される側だけではなく介助する側にも危害が生じる可能性が十分にあります

なので、今回の内容は参考程度に見て頂き、もし実際にしてみようと思われる場合は関わっている医療・介護従事者(医師・訪問看護師・介護福祉士・ヘルパー・理学療法士・作業療法士など)に一度相談されOKをもらってからする様にしてみて下さい

 

 

スポンサーリンク
申請中

 

はじまりはじまり

1ab

ノルウェーやオーストラリア、デンマークなどの欧米の国々の中には人力での全介助での移乗などを労働者を守るために法律で規制している国があるのはご存知でしょうか?(もちろん罰則あり)

 

そのためそれらの国では福祉機器がよく使われているのですが、日本では相変わらず人力がメインです

確かに日本でも腰痛予防対策指針や労災の非災害性腰痛の申請内容に「人力のみで持ち上げ重量20kgまで」という規定は存在していますが、法律ではないので罰則はなく有名無実化しています

ぼくらは仕事でよく患者さんを車椅子に移したりするのですが、体重が20kgの患者さんなんていませんし……

そういった現状を踏まえ、人力でもできる限り腰の負担を減らすためにどのようにしたらいいのかについてを紹介します

 

 

2

今回の話の内容は主に2つあり、1つは腰を痛めない介助方法って何のか?について話をさせてもらった後、実際の介助場面で具体的な方法について話をします

 

 

腰を痛めない介助方法とは

3

腰を痛めない介助方法をとっても簡単に言えば、介助する側が楽な介助方法の事です

えっそれだけ?って思われる方も多いと思いますが、シンプルに言えばそれに尽きるとぼくは思います

 

家で患者さんをよくみてくれている家族さんが特に誤解されている事が多いのですが「自分たちはしんどくても本人が楽ならそれでいい」という考えをされている方が結構いらっしゃいます

 

 

特にそれは間違ってますよってぼくはいいたい

 

 

介助される側は介助している側がしんどいという事は言葉でださなく(だせなくても)ても分かっている事が多いんですね

介助する側が苦しんでいたら負い目を感じて、本当に必要な事も言いづらくなってしまいます

それで身体の機能が落ちて、更に介助量が増えて、介助する側の負担が増えて、という悪循環を引き起こしてしまう場面を経験した事があります

 

また仮に負い目を介助される側が感じなくても、介助が辛いと、介助をしてみようとする介助する側の気持ちをいつも高く保っている事は難しいと思うんですね

人間ですから

感情には日によって高い低いはありますから

気軽に介助できれば、気持ちをそんなに高く保ってなくてもサッと介助という行動に移る事ができるんですね

それが機能を保つ事や介助量を軽減する事にも繋がる訳です

 

 

なのでここで特に強調しておきたいのは、介助する側が楽をする事は何も悪くない、むしろいい事となんです

 

 

4

で腰を痛めないために、介助者が楽な介助をしましょう、という事なのですが、その際に介助する時のコツというものがありますのでそれらをまず紹介したいと思います

 

 

介助する時のコツ

5

その介助するコツは簡単に言うと「本人の力をできるだけ使いましょう!」という事です

それが介助する側の腰痛予防にも繋がります

その際に意識して頂きたい事が5つあります

その1つは、①「てんびんの原理を使いましょう」という事や②「摩擦を少なくしましょう」という事や、③「方法を工夫しましょう」という事や④「本人の動きを感じてから介助しましょう」という事や⑤「他人の力や道具を使いましょう」という事になります

これら①~⑤の意識して頂きたい事については後ほど詳しく説明します

 

 

6

なぜ本人の力をできるだけ使う事が腰痛の予防になるのかという事なんですが、普段のその介助がリハビリとなって介助する量が徐々に減ることがあるためです

介助する量が減るわけですから腰も痛くなりにくくなるという理屈です

 

ただ間違った介助をしてしまうと介助する量が変わらないどころか、逆に介助する量が増えて腰痛を引き起こしやすくなってしまいます

その間違った介助の一例を紹介します

 

 

7

あなたは立ち上がりや車椅子へ移す時に患者さんのズボンをもって真上に引きあげる様な介助をされていないでしょうか?

 

 

8

実はその様な介助は相撲の技で「うっちゃり」といいます

この様にズボンを引き上げ、介助される側の両肩がすくむ様な形になってしまうと足に力が入らなくなってしまうんですね

お相撲さんは相手を土俵から出すために踏ん張られては困るため、この技は土俵際でよく使われます

 

介助が「うっちゃり」になってしまったら介助される側も足に力が入らないため踏ん張れないですから、介助する側の介助量も非常に多くなってしまいます

しかもこういう介助を続けていると次第に介助される側も足を踏ん張る事をやめてしまい、介助する側の介助量も徐々に増えて腰痛を引き起こすリスクが更に高くなってしまうんですね

 

 

5

その間違った介助をしないようにするために、これら5つの事を意識して頂きたいんです

では一番なんやこれという①の「てんびんの原理」から説明していきます

 

 

てんびんの原理

9

では①のてんびんの原理からいってみましょう!

言葉だけなら一体なんのことやらわかりませんから(^^)

 

 

10

この原理は起き上がりや立ち上がり、車椅子などに移る時に使う原理で、人の体をてんびんと考えて介助方法を考えると介助が楽になりますよ、っていう考え方の事です

 

椅子からの立ち上がりを例にとってみると

頭が下がらないとお尻が浮かないという事です

 

ぼくが学生だった頃、運動学の実習で体験した事なのですが、座った状態でおでこに人差し指1本を当てられた状態で立つように言われました

指1本だけだから立てるだろうと思ったのですが全く立つことができなかったんですね

 

理学作業療法士の方は経験された方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

された事がない方は一度誰かに協力してもらって体験してみて下さい

 

なので立つ時には介助される方の頭が下がるように介助をしないといけない、頭が下がるのを邪魔してはいけないという事です

でも、介助をしていると転倒させてはいけないという思いが強くなり密着してしまいやすくなるため、なかなか頭が下がれるようなスペースを確保しながら介助をするのは結構難しかったりするんですね

 

 

起き上がりの時にもこの原理は使えます

イメージで表すとこんな感じ

IMG_8864

起き上がりをする時には頭(上体)を起こすことばっかり考えがちになってしまいますが、足をしっかり下げないと頭を起こすことが難しいです

なので頭を起こす時には足をしっかり下げることを意識して介助すると、楽に介助できる場合がありますよっていうのも「てんびんの原理」になります

 

 

11

てんびんの原理にはもう1つ介助を楽できる場合があります

 

手足を動かす事さえ難しい患者さんであっても、介助してもらう間力を入れてもらうだけで介助が楽になる可能性があるんですね

在宅では特に起き上がり介助の際、この効果を強く感じる事があります

ちなみに手足が動かせない患者さんだけでなく、熟睡されているような患者さんに対していきなり介助して起こすのではなくて、しっかり声掛けなどをして覚醒度を上げてから起きてもらいましょうという事にも繋がります

 

筋肉の緊張が弛緩している状態よりも少し緊張が入っている方が介助しやすいんですね

物で例えるのは不謹慎かもしれないのですが、茹でた後の素麺(そうめん)はフニャフニャして非常に扱いづらいですが、茹でる前の硬い素麺は扱いやすいですよね

MOLDIV-001

そんな感じです

固さがあるため起き上がりの際にはベッド下に足を下ろすだけで頭が自然と起き上がってきます

 

 

5

これで①の説明は終わったですが、②~⑤の説明は実際の介助場面を見てもらいながら説明していきます

 

 

よくある介助場面

12

よくある介助場面は上のようになり、それぞれ協力がある場合と全介助の場合について楽に介助する方法等について説明していきます

1.ベッドの上で上下左右に移動してもらう(1.1協力ありの場合 /1.2 全て手伝う場合)
2.ベッドの上で横を向いてもらう場合(2.1協力ありの場合 / 2.2全て手伝う場合)
3.起き上がってもらう場合(3.1協力ありの場合 / 3.2全て手伝う場合)
4.ベッドから立ち上がる場合(4.1協力ありの場合 / 4.2全て手伝う場合)
5.ベッドから車椅子やポータブルトイレに移る場合(5.1協力ありの場合 / 5.2全て手伝う場合)

 

 

13

ではそれぞれみていきます

 

1.ベッドで上下左右に移動してもらう場合

仰向け(背臥位)のままベッドに上に移動する場合です

この時にもし頭の上に掴まる所がある場合は、そこを持ち(=コツ③)膝を立て(=コツ②)、ベッドを蹴ると同時に手で引き寄せます(=コツ③)

更に上がるときには後頭部をベッドに押し付けて、背中を少しあけるようにします(=コツ②)

それでも動くのが難しかった場合には、足がずれないように持って上げたり、お尻を引き上げてあげる介助(=コツ④)で上に行きやすくなります

これでも難しい場合はスライディングシートなどを背中からお尻に敷いてから行ってもらいます(=コツ⑤)

 

スライディングシートはこんなの↓

それでも難しい場合でもしベッドのリモコンで足の部分が挙上できるものをお使いの場合、足の部分を上げて頭が下に下がるような状態でしてもらって(=コツ③、⑤)もいいかもしれません

 

 

 

14

次に仰向け(背臥位)のまま横に移動する場合です

在宅ではよく食事などでベッドを起こした後、患者さんが下にずり落ちてしまい上に戻すのに難儀されている介護者さんが結構沢山いらっしゃいます

 

まず両膝を立てブリッジしながら、まず腰を横に移動(=コツ③)します

それば腰が体重の45%ぐらいあり一番重たい所だからです

重たい所を最初に動かしちゃいましょう、という事です

持ち上げようとしているのを感じるけれどお尻が十分上げることが難しい場合には動きを感じてから臀部を少し持ち上げるのを助けます(=コツ④)

次に後頭部をベッドに押し付け(=コツ②)、肩を横に移動し最後に頭と足を移動させます

 

 

15

次に横に移動する場合です

寝返りをして横向きに寝た状態(=コツ②)から柵を押し(=コツ⑤)、背中の方へ移動(=コツ③)して仰向けに戻ります

この時柵を押す力が十分出なかった場合には、動きを感じてから背中側から腰を持って引き寄せます(=コツ④)

 

 

16

全介助の場合です

まず介助者は動かした後、楽と思われる位置に立ちます(=コツ③)、これは介助し始めの位置に立ってしまうと上の方へ押す力を使わないといけないからです

人間の腕の力は押すよりも引く力の方が強いためその力をうまく使おうという事です

そして介助者の膝(足)をつくためにベッドの高さは低めにして、介助者の片膝(足)をベッドの上に載せます

この方が介助者の体重を使いやすいため腰の負担が少なくすみます

そして本人の身体をできるだけ思いきり抱え込むように持ちます(=コツ②)

 

17

抱え込む時には片手を背中を抱え込むようにして持ち、もう一方はお尻の一番体重がかかっている所(仙骨付近)を持ちます

 

動画ではこんな感じ

1552352765zhOPuDZ0V0P59D_1552352762

 

18

もしこの全介助の方法でも手を動かす事ができる場合には、介助者の肩に手をまわしてもらう事で介助量の軽減が図れます(=コツ②)

 

 

2.ベッドの上で横を向いてもらう場合

19

次は2のベッドの上で横を向いてもらう場合で、協力ありの場合(2.1) と 全て手伝う場合(2.2)です

まずは協力あり(2.1)の場合から説明していきます

 

 

2.ベッドの上で横を向いてもらう場合

20

まずは横を向く前に向きたい方向とは逆側に移動してから(=コツ③)、両膝を立て(=コツ②)柵を持って(=コツ⑤)横向きになります

この時、ベッドが狭いと横向きになる事自体が難しくなってしまうため、自力で寝返りができる方であればベッド幅は広めの方がオススメです(自力で寝返りが困難な方の場合には介助しやすい幅が狭めのベッドがオススメ)

 

 

21

特に片側に麻痺がある場合の寝返りでは、麻痺している足をいい方の足ですくい、麻痺している手をいい方の手でお腹の上に載せコンパクトにし(=コツ②、③)、その状態で麻痺していない側の柵を持ち寝返ります

自身での寝返りが困難な場合には、動き始めるの感じてから肩や腰を掴んで寝返るのを助けます(=コツ④)

麻痺している側を下にしても痛みなどがない場合には、麻痺している側へ寝返る方が楽ですが、次の動作(起き上がり)に繋がりにくいので注意が必要です

 

 

 

今度は全て手伝う場合です

22

横を向いてもらう方の手を横に伸ばし、向かない方の手をお腹の上に載せます(=コツ②、③)

そして両膝を立たせ、その膝と肩を持ちを横に倒します(=コツ②、③)

 

動画ではこんな感じ

1552424488OdDM2GalRBAGpOJ1552424480

 

 

次は起き上がってもらう場合(3.1 協力あり / 3.2 全て手伝う)の説明をしてきます

23

 

 

3.起き上がってもらう場合

協力がある場合で柵を使う場合から説明していきます

24a

起き上がる前の準備が結構大切です

頭が柵から近すぎると窮屈で協力が得られにくくなるため、起き上がる前に先ほど説明したベッド上での横移動の方法柵から離れた所に移動します(=コツ③)

 

 

 

25

両足をベッドから降ろすのと同時に体を起こします(=コツ①)

この時に片足が浮いてしまって起き上がれない方も結構いらっしゃいますので、片足が浮いてくるのを感じたらその浮いてきた足を軽く押さえる様に介助してあげて下さい(=コツ④)

 

また体を起こそうとする時、肘でしっかり体を支える必要があります

体がある程度起きたら今度は支えている肘から手でベッドを押して支えるのですが、この切り替えがうまく行かず起き上がれない方も多くいらっしゃるので、起き上がろうとしてバランスを崩しそうになったら肩を支えてあげて(=コツ④)、起き上がりしやすい状況を作ってあげて下さい

繰り返す内に自分で起き上がれる様になる方も沢山います

 

 

特に片側に麻痺のある方について詳しく説明します

26

片側に麻痺のある方も基本的には同じで、起き上がり前の準備として

まず起きる側から離れた所に移動します

麻痺した手をお腹の上に置き(=コツ②、③)、麻痺した足の下に麻痺していない足を潜り込ませます(=コツ②、③)

この潜りこませる時には麻痺した足の膝下あたりから潜り込ませるとしやすいです

 

 

27

麻痺した足を麻痺していない足の上に載せた状態のままでベッド下に両足を降ろします

その足を降ろすと同時に体を起こします(=コツ①)

その降ろす反動を利用してもいいですし、降ろした麻痺していない足をベッドのフレームに引っ掛けて体を起こしても構いません

この時どうしても麻痺した足が浮きやすいので、浮いてくるようでしたら軽く麻痺した足の膝辺りを持ってあげて下さい(=コツ④)

 

 

今度は起き上がりを全て手伝う場合です

28

途中まで全介助で寝返りをする場合と似ているのですが、違う所としては両手をしっかり胸の前で組んでもらう所です

両手を胸の前に組み、両膝を立てた状態で、肩と膝裏を持ち、両足をベッド下に降ろすと同時に体を起こします(=コツ①)

この時の注意点としては肩を持つ際には介助者の前腕に介助される側の後頭部がかかる様にすると首が後ろに反らして痛めてしまう事を防ぐことができます

またこの起きあがりの時にはしっかり「起き上がりますよ」と声掛けをして全身の筋緊張を上げてもらうと、首を痛めにくくなったり、てんびんの原理が使われ楽に介助する事ができます(=コツ①、④)

 

動画ではこんな感じ

1552773280_Txv4Hkc6BvWa5z1552773271

 

 

次はベッドから立ち上がる場合(4.1 協力あり / 4.2 全て手伝う)です

29

 

 

4.ベッドから立ち上がる場合

立ち上がりの際には、協力のあるなし関係なく共通するポイントが2つあります

30

それは何度もいいますが「てんびんの原理」を使う事です(=コツ①)

立ち上がるためにはお尻が浮かないといけないのですが、頭が基本下がらないとお尻が浮かないという事を意識すると介助をする側もされる側も楽です

また介助する際にもきちんと声掛けをして介助される側が動き始めるのを感じてから介助する様にしてみて下さい(=コツ④)

 

 

もう1つのポイントは立ち上がる前の準備です

32

立ち上がる際には、座っている座面の高さは両足の裏が床に付く高さにしましょう

座面が低すぎると立ち上がりに本人の努力が沢山要したり、介助する量が増えてしまいます

特にリモコンでベッドの高さを変えられる場合には立ち上がりの前に足底が床から離れない程度の高さに設定しておきましょう(=コツ⑤)

また滑り止めがついていない靴下だったり、靴の底がすり減っているような靴を履かれている場合には立ち上がりの途中で足が前にずーと滑ってしまい転倒の危険性が高くなるので注意してください

 

こん靴下がオススメ

滑り止めの着いた室内履きっていうのもあります

 

また立ち上がりの際には、足を前に出しすぎない様に注意してください(=コツ③)

前に足を出しすぎるとその足がつっかえ棒になってしまって立ち上がりにくくなっていまいます

膝よりも手前に足がくるように、また足と足との間には握りこぶし1個ぐらいの隙間があるような状態から立ち上がる(立ち上がりの介助をする)様にして下さい

 

 

 

それでは具体的な立ち上がり介助にいってみましょう

31

足の力はあって立ち上がる際に膝がカクンと折れる事のない方に対しての介助方法です

両手を持って介助します

その際にはてんびんの原理を使って、介助する側は真上に引き上げるのではなく、頭が下の方に下がるように引いて介助します(=コツ①)

 

 

 

33

今度は先ほどの方よりも足の力が弱くて、立ち上がりの途中に片膝がカクンと折れてしまう方を介助して立ち上がる場合や全介助の場合です

カクンと膝が折れてしまう弱い方の足の膝を介助者の膝で挟み、カクンと膝が折れない様にします(=コツ③)

全介助の場合でも弱い方の膝を挟むようにして、少しでも強い方の足で踏ん張ってもらいます

介助者の肩に手を回したりするなどして、てんびんの原理を使うため、できるだけ体を前に傾ける様にします(=コツ①)

介助する側もできるだけ介助される側の頭が下に下がるのを妨げないように意識しましょう

 

 

動画ではこんな感じ

1552778137QVyMF1C1tcy7l551552778134

介助する側としては頭が下に下がるのを邪魔しない様に介助しているつもりですが、傍からみるとちょっと邪魔してしまっている事が非常に多いです

そこで誰かに介助している様子をスマホの動画で撮ってももらい確認する事もとっても有効だと思います

 

 

次はベッドから車椅子やポータブルトイレに移る場合(5.1協力あり/5.2全て手伝う)です

34

 

 

5.ベッドから車椅子やポータブルトイレに移る場合

まずは協力ありの場合

35

介助する対象としては、足の力が弱い方だったり、立つことに不安の強い方、あるいは体重の軽い方

方法としては、移る方向とは反対側にある膝を介助者の膝で挟みこむようにして立ち上がってもらい、移乗する側の足を一歩前に出してもらって椅子へ移乗します

移乗する側の膝を挟み込んでしまうと方向転換ができなくなるので注意して下さい

てんびんの原理を使うため、立ち上がりの際には介助される側の頭が下がりやすくなるように意識してみて下さい

 

 

動画ではこんな感じ

1552781469ZVSANQeiQw7pmAM1552781463

 

 

 

次は足と手の力は比較的ある方、立つことに不安の強い方の場合です

注意点として重たい椅子を使います(=コツ⑤)

本人の真正面にその椅子を置き、両手を座面につける形でしっかりおじぎをしてもらいます(=コツ①)

介助者は腹部を抱える様にして持ち、お尻を移乗先に向けるように介助

移乗先に臀部が向いた時に、ポータブルトイレなどを使用する場合はズボンの上げ下げなどの介助を行います

 

 

 

 

次は両膝が曲がったままで伸びない方(両膝関節伸展-90°ぐらいまで)、立つ力を失ってしまった方、かなり大柄な方(自分の体重よりも重たい)の場合です

方法としては、移る先の座面、介助される方、介助する人がこの順で横並びになる様に介助される方の横に座ります

介助する人の太ももの上に介助される方の太ももを載せ、介助する人の太ももに介助される方の体重が全て載る様に引き寄せます(=コツ①)

介助される方はこの時不安定に感じられるので、両手を伸ばせる方は介助者の太ももの上に両手をおいてもらう様にしましょう

介助される方の体重が足に全て載ったことを感じたら、介助する人は移る先に向かってお尻をずって移動させ、そのまま介助される方のお尻を移乗する先に置きます(=コツ②、③)

要するに介助する人の太ももをスライディングボードとして使う方法になります

 

基本的に介助される方の体重は介助する人の足で支えるので手で持ち上げなくてもいい分かなり楽に移乗が行えます

足の力は手の力の4~5倍はあるのでその力を上手く使っているんですね

 

スライディングボードとはこんなの↓

 

動画ではこんな感じ

 

介助する人が座る際にその座面にスライディングシートを敷いた状態で行うとより楽に移乗が可能となります

 

スライディングシートとはこんなの↓

 

今度は両膝がかなり曲がったままで伸びない方、立つ力を失ってしまった方の場合です

介助する人は片膝を立て、移る方向側の介助される人の太ももの後ろを抱える様にして持ち、もう一方は反対側の腰のズボンを持ちます

この時介助する人は介助後が一番ラクになる様な位置に自分の足を置いて置きます

介助される人はしっかりおじぎする様な形で介助する人の背中に持たれかかります(=コツ①)

この時介助する人の肩がお腹に入って痛みが生じやすいので注意してください

 

動画ではこんな感じ

 

 

腰に痛みを生じないために出来るだけ楽に介助をしましょう、という事で5つのコツを紹介してきました

このコツの中でも⑤の他人の力や道具を使いましょうについて、特に道具についての説明が不足しているのでこれから簡単に話をして補っていきます

 

 

 

車椅子からベッドに移ったり、トイレから車椅子に移ったりする際に、普通の車椅子ではなく、肘置きが取り外せたり跳ね上げれたり、あるいは足を置く台が取り外せるようなタイプの車椅子を使うと、介助される側も介助する側もより楽に行える可能性があります

 

またベッドから車椅子に移る際などに車椅子を置く位置なども気をつけないといけないポイントがあります

それはあまりに角度をつけ過ぎると大きい方向転換をしないといけないため難易度が上がるんですね

では角度が小さければ小さいほどいいかといえば、それは車椅子のタイプによります

足置きが取り外せるタイプなら角度0°が最も難易度が低いですが、足置きが取り外しできないタイプだと0°にしてしまうと足(特に下腿と足置きが接触しやすくなるため余分に方向転換しないといけなくなり難易度が少し上がってしまいます

そういう時は足置きがちょうどベッドに接触するくらい、角度でいうと15°程度が一番難易度が少なかったりします

 

 

 

また移る際にベッドのリモコンでベッドの高さを自由に変えられるものを使われている方は、移る前が高く、移った後が低くなる様に設定する事で、介助される側も介助する側もより楽に行える可能性があります

適した所に手すりを置く事でも同様です

どこにどの様な手すりを置けば良いのかについては、体の状態がわかってくれている医療(訪問看護)や介護のスタッフに聞かれてみるといいと思います

手すりは置いたはいいけど邪魔になってしまう事も大いにあるからです

 

 

その他に主によく使われる道具としてはスライディングボード移乗・移動リフトなどがあります

こんな道具を使う事で本人の少しでも動いてくれて介助量が減る事があるんですね

しかしこれらの道具を適切に使うためには、やはり体の状態がわかってくれている医療(訪問看護)や介護のスタッフに聞かないとまずいと思われます

不適切に使ってしまうと、本人の力を使いづらくなってしまい介助する量が増え介助する方の腰を痛めてしまう事にもなるからです

 

 

通常ならこの辺りで講義は終わるのですが、在宅関係者向けの移乗方法などの講義をしていると、介助される方が床に落ちた(落ちていた)場合にどの様にベッドや車椅子に戻したらいいのか?と聞かれる事が多くあります

 

家の中での転倒は十分考えられる事なので仕方ないですね

ぼくが訪問看護ステーションで仕事をしていた時にも、家族さんからそういった連絡を受けた事や実際にベッドに戻すのを手伝いに行ったりする事もありました^^;

知っておくと損はないと思いますので最後に紹介したいと思います

 

 

ちなみに転倒予防についてのスライドも作っているので興味のある方は見ていただけたら嬉しいです

転倒予防がなぜ重要なのか?(訪問看護師さん向けの転倒予防の講義①)

 

 

ベッドや車椅子から落ちた方を戻す方法

床に落ちた(落ちてしまった)方を見つけた場合に対応の仕方なのですが、基本的には一次救命(BLS)の方法に従います

こちらの方法ですね

この様な手順を踏んだ上で声掛けに対する反応もちゃんとあり、呼吸も問題なさそうで、呂律困難や手足の動かし具合もいつもと変わらず、一見ケガもなさそうな場合、いきなりベッドに戻そうとするご家族さんも多いです

 

でも、そこはちょっと待って頂き

 

もし訪問看護のサービスを受けられていて、24時間何かあったら連絡を下さいを言われて電話番号を教えてもらっている場合(緊急時訪問看護加算をとっている場合)には、電話で状況を伝えて指示を仰いで下さい

 

それでも特に問題がなさそうと判断してもらった場合

実際に落ちている床などからベッド等に戻ってもらわないといけないのですが、その際には人手のある場合と最悪1人で手伝って戻ってもらう場合の介助方法を紹介します

 

まずは家にいるご家族さんが3人(最低2人)以上いる人手のある場合について紹介します

1番オススメなシーツを使って行う方法 と 道具なしで行う方法 とがあります

 

 

 

方法としては、① 寝返りをしてもらい(あるいは介助で)シーツを背中に敷きます

②2~4人でシーツの端を持ち引き上げるのですが、この時、人数が2人以上であれば重たい腰付近を3人目の方に持って頂き、それ以上人数がいる場合には頭の所を左右に分けて持ってもらいます

③頭側に立った介助人が合図をし、一気に引き上げる

 

 

動画ではこんな感じ

 

 

 

今度は2人介助でシーツを使わない場合です

((注意)) この方法は腕や肩の負担が大きいので、痛みのある方や骨の脆い方など不安のある方はしないで下さい

 

まずは ①本人に両腕・両足を組んでもらい、コンパクトになってもらいます

②頭側に立った介助者が本人の両脇から手をいれ両前腕を持ちます

③足側に立った介助者は両手を太ももの後ろに入れ足を支える

④頭側に立った介助者が合図をし一気に引き上げます

 

 

動画ではこんな感じ

 

 

 

では今度は1人介助で床からベッドなどに移ってもらう場合です

2通りあり、落ちている本人がある程度動ける場合全て介助で行う場合 に分けて説明します

 

 

 

方法としては、寝ている状態から上体を起こしてもらい

移るベッドとは反対方向にある片足をベッド側にある膝下に潜り込ませ

四つ這いになってもらい、ベッドまで移動して片膝を立て立ち上がって、ベッドに移ってもらいます

この際ベッドの高さが低ければ低いほど楽に移れるので、予め転倒するリスクがあるような方の場合には低床ベッドを導入される方がいいと思います

最近では床からの高さが11cmしかない超低床ベッドも介護保険のレンタルが可能な場合もありますよ

 

 

動画ではこんな感じ

 

 

 

次は1人で床からベッドなどに全介助で移す場合です

こちらははっきり言ってオススメできません

介助する側の負担も非常に大きいですし、介助される側の関節などの負担も大きく転落リスクも高いです

なので非常手段とお考え下さい

まずは①ベッドのできるだけ近くまで移動してもらう事からスタートします

②寝た状態から上体を起こします

③ベッド側とは反対側に介助者は座り、介助される方の足部を介助する人の下腿で固定し前にずれないようにします

④介助される方の腰に両手を回し

⑤固定した足の方に引き寄せます

⑥引き寄せるとお尻が浮いてくるのですかさず介助する方の片膝を介助される方のお尻の下に入れ支えます

⑦介助する方は膝で介助される方の体重を支えつつ、片手でお尻を持ちベッドの方へ回し移乗させます

 

 

動画ではこんな感じ

 

 

最後に

腰痛を予防するため、楽に行う介助方法についてお話いたしました

はじめにの所でも書いたのですが、楽な介助方法 は 介助する側される側の体の状態、周りの環境によって 様々あります

間違った方法で行う事で介助される方や介助する方の身体に危害が加わる場合もあります

なので適切な介助方法をお探しなら、訪問介護・訪問看護・訪問リハビリ等のサービス担当者に聞かれた上で自己責任でされて下さい

 

 

以上です

長文を最後まで読んで頂きお疲れ様でした

 

 

参考・引用文献

 

 

 

スポンサーリンク
申請中

 

 

ぼくがした過去のプレゼン

 

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者さんの息切れを軽くするために

【内容】COPDの患者さんに対する呼吸リハビリテーションについて簡単に説明しています
【対象】COPDの患者さんと家族 ~ 新人リハビリスタッフ・訪問看護師
【プレゼンした日】2006年, 2015年10月(所属法人病院 / 愛媛県訪問看護ステーション連絡協議会東予ブロック管理者会)

COPDの患者さんが医療従事者に望む事は?
「禁煙」しないとリハビリしても意味はない!
「薬物療法」 と「酸素療法」に加えて「リハビリ」をする効果は?
腹式呼吸は指導すべき?
横隔膜の同定には打診!
息苦しい動作をする時のコツを知っていますか?
息苦しい動作の評価の仕方(医療従事者向け)
COPDの患者さんには食事(栄養療法)が大切な理由 
なぜCOPDの患者さんは筋トレをしないといけないのか?
「筋持久力」と「全身持久力」との違いはわかりますか?

 

 

吸引回数を減らすために 

【内容】吸引って患者さんも痛いし合併症のリスクもあるし、ぼくら医療従事者も出来るだけ回数を少なくしたいと思っています。では具体的にどうしたらいいのか患者さんやご家族が出来そうな事について書いています
【対象】新人リハビリスタッフ・訪問看護師
【プレゼンした日】2014年9月(所属法人病院/愛媛県訪問看護師 東予ブロック研修)

ゴロゴロ(貯痰留音)するからといって反射的に吸引していないですか?
動く(動かす)と吸引回数が減る理由はわかりますか?

  

排痰のための聴診

【内容】患者さんの痰を出すためにぼくら医療従事者は体位ドレナージ(体位排痰法)などを使います。でもそれを使うためには痰が肺のどこにあるのかが分からないと効率的に痰を出すことができません。またそもそも本当に痰が肺にあるのでしょうか?。実は痰の有無や場所がある程度が分かるのが「聴診」なんですね。なので今回「排痰」に関する形で「聴診」についてまとめました。
【対象】新人リハビリスタッフ・訪問看護師
【プレゼンした日】2015年8月、2017年3月(所属法人病院/愛媛県訪問看護ステーション連絡協議会東予ブロック管理者会)、2017年10月(所属法人病院、近隣病院)、2017年12月9日(愛媛県訪問看護ステーション連絡協議会東予ブロック管理者会)

前から見た時の、上・中・下葉の見つけ方
横と後ろから見た時の、上・中・下葉の見つけ方
肺区域(S1~S10)の場所の見つけ方
なぜ肺から音が聞こえるかわかりますか?
正常な音と、そうではない音との聞き分け方

 

 

肺理学療法手技

【内容】ぼくが臨床で多用している排痰手技についてまとめました
【対象】新人リハビリスタッフ、訪問看護師
【プレゼンした日】 色々(所属法人病院/愛媛県訪問看護ステーション連絡協議会東予ブロック管理者会)

ポストリフトって知ってますか?
「呼吸介助」 と 「スクイージング」の違いについてサクッとまとめてみた
呼吸介助についてまとめてみたよ!
息苦しいから呼吸介助?(息切れがあっても呼吸介助の意味がない場合)
自分で痰を出しやすくする方法(ハッフィング)についてまとめてみた

 

 

治療用装具についてのプレゼン

     【内容】ぼくが所属する法人の母体病院が新たに回復期病棟を開設するのですが、PT室に評価・治療用装具が1つもない状態であったため、導入していただけたらという意図を込めて作りました。プレゼンの時間は15分。また他病院でもプレゼンしてアドバイスを頂き加筆したものになります。
  【対象】セラピスト
     【プレゼンした日】2016年9月、2017年3月(他院勉強会/当法人病院)

⇒  装具を嫌ってないですか? ( 治療用装具について )

 

 

 

訪問看護師さん向け転倒予防の講義

     【内容】ぼくら訪問看護に関わるスタッフがなぜ転倒予防について学ぶ必要があるのか? 
    訪問場面で予防するために具体的にどの様な事をしたらいいのかについてまとめました
  【対象】訪問看護師、新人リハビリスタッフ
     【プレゼンした日】2016年4月、6月(所属法人病院/愛媛県訪問看護ステーション連絡協議会東予ブロック管理者会)

転倒予防がなぜ重要なのか?(訪問看護師さん向けの転倒予防の講義①)
転倒の原因を考える(訪問看護師さん向けの転倒予防の講義②)
転倒予防にオススメの運動 (訪問看護師さん向けの転倒予防の講義③)

 

 

地域住民の方向け転倒予防の講義

 【内容】上の訪問看護師さん向けの講義の内容から専門的な部分を排して、分かりやすくしたものになります
    【対象】一般
 【プレゼンした日】2016年11月25日(地域包括支援センター美須賀立花)
 【プレゼン時間】1時間

地域住民の方に転倒予防の講義をしてみた!(地域住民の方向けの転倒予防の講義)

シェアする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメントする